バドミントンデータ解析ブログ

バドミントンについて、しょーもないことも含めてデータ解析で遊びます。主にTwitter(@badiary09)に生息しています。

競技における自動判定について

考えるきっかけ

 少し前のIndia Openで起きた出来事。


(問題のシーンは27:53から)

 韓国ペアがアウトだと判断して球を見送ったが、選手が球を隠す形になってしまって線審がコール出来なかったシーン。主審にも見えなかったため、レットとなった。この後Koが主審に何を言ったかや主審がレフェリーと何を話したかは分からないが、線審が見えなければホークアイで判定すればよかったのでは?と当然ながら思った。
 解説者(Gillan Clarkさん)は「チャレンジシステムを使えばいいのに、恐らく韓国ペアはその存在を忘れているのだろう」と言っているが、Koの様子からするとチャレンジを要求しているように見えるし、その後の主審とレフェリーの会話は「レットに対してチャレンジ出来るか」ということの確認だろう。

ルールはどうなっているか

まず、レットになる規定は競技規則14.2.6にある。

It shall be a ‘let”, if a line judge is unsighted and the umpire is unable to make a decision.

次に、チャレンジシステムについての規定は新しく追加されたAppendix 7の1.1にある。

On a court where an Instant Review system is in operation a player/pair may challenge a Line-judges call, or the overrule call of an Umpire.

 これを見ると、選手は線審もしくは主審の"call"チャレンジ出来るとあるので、ここで問題となるのは「見えなかったという宣言は"call"にあたるのか?」ということだ。
 "call"の定義は見当たらないが、他の競技規則内での使われ方を見るとレットの宣言も"call"であると思われる。例えば、競技規則17.6.1には

An umpire shall uphold and enforce the Laws of Badminton and, especially, call a ‘fault’ or a ‘let’ should either occur;

と書かれている。
 しかし、Appendix 7 の3.2には

If a call, after review, is deemed correct then the player/pair loses one right to challenge.

とあり、"call"とはcorrectか否かを判定出来る性質を持つように書かれているので、やはりレットは"call"には当たらないと考えるのが現状では妥当だろう。つまり、ホークアイを使わなかったのはルールに則っている。
 …がしかし、この例を見ると、レットの場合にはホークアイを使用出来るようにルールを改正するのが良いと思う。

 ただ、もっと突き詰めると、そもそも線審なんて導入せずに全てホークアイでいいのでは?という考えが出てくる。多方向にカメラを置いておけば「見えなかった」なんてことはなくなるのだから。

自動判定、導入はどこまで進む?

 自分は人間の目で確かめるよりも機械に自動判定させた方がよっぽど正確に判定が出来ると思う。シャトルは早い上に形も特殊なので、コルクの着地点を正確に判定するのは人間には難しいと思う(少なくとも自分は線審は苦手であまりやりたくない)。
 しかし、例え機械の方が正確だというのが正しいとしても、やはり機械だけに任せるのは不安で人間にいて欲しくなるのが心情でもある。機械だけでは何かアクシデントがあるかもしれないと思ってしまう(そんな低確率の「何か」よりはるかに高い確率で人間の線審による誤審が起こっていると思うのだけど)。この辺り、車の自動運転技術がなかなか普及しなさそうなことと似ている気がする。

 では他のスポーツではどうかということで、自動判定を導入しているスポーツを考えてみると、陸上や水泳が思い浮かんだ。SEIKOのウェブサイトに色々解説が載っている。最終タイムの計測だけでなく、フライングの判定も自動化されている。
 こちらがすんなり自動化されたのに対して他のスポーツはそうではない。この差はなんだろう。案外陸上・水泳界ではこういった自動判定システムに不信感が強かったりするのだろうか。

 機械に対する不信感は世代による差があると思うので、これからどんどん少なくなっていくと思う。そうすれば自動判定も浸透していくのでは。技術がどんどん進歩して線審の人件費よりも自動判定システムの方が安くなったら導入待ったなしなのでは!個人的にはどんどん浸透して欲しい。計測の話題としても面白そうなので。

そういえば…

 サービスフォルトのアバブザウェストの規定

the whole shuttle shall be below the server’s waist at the instant of being hit by the server’s racket. The waist shall be considered to be an imaginary line round the body, level with the lowest part of the server’s bottom rib

となっているが、これを自動判定するとしたらどうすればいいんだろうか。肋骨の一番下をユニフォームの上から判定するシステム…赤外線カメラの導入が待たれる。笑

BADMINTON UNLIMITED 2014 Episode 1

BWFから公式に週一で配信されている動画、2014年第一弾!Badminton Unlimited、なかなか面白いなあ。これからも定期的にチェックしよう。

1:00
Super Series Finalの直前に行われる歓迎式典の様子。出場選手が集まってのディナーで、なんだか楽しそう!こういう感じで、普段のSuper Seriesでも選手間の交流があったりするんだろうか。だとしたらその場の選手の雰囲気とか知りたいなあ。取材入って下さい!
2:47
2013年のSuper Seriesは12。WDとXDを合わせると17/24のタイトルが中国で、WSも7/12が中国らしい。恐ろしやー。MSはLin Danが、MDはCai Yunが抜けたことでちょっと後退気味か。
WSはTine Baunが抜けて、その代わりにRatchanok Inthanonが来たイメージだな。他に中国に対抗出来る人っていなさそう。
8:40
Marc Zwieblerって2003年から国際試合出てるんだな…大ベテランだ。
9:00
田児特集!田児って、実力的には早川遠藤、高橋松友と同じくらいだと思うんだけど、この2ペアに比べると注目度が高い。男子シングルスが特別というのもあるけど、動画にもあるように2010年の全英オープンが記憶に強く残ってるのだろう。Nguyen Tien Minh、Chen Jin、そしてLin Danに勝ったBao Chunlaiという3人のシード選手を倒して決勝進出、Leeとも良い試合をしたのは大きい。そう考えると確かに早川遠藤と高橋松友にはまだ強烈なエピソードはないかも。(早川遠藤は二年連続全英オープン準優勝で注目を集めたかも?)
15:20
フォアハンドスマッシュ時、ラケットヘッドは25m/s、シャトルとの接触時間4ms、シャトルの初速75m/s、そして世界最速のスマッシュはTanの493km/h(=137m/s)だそう。これ、どうやって計測しているのか気になる。数年前までは世界最速は300kmだったので、その間のラケット技術の向上でここまで伸びる訳がない。YONEXは使用したセンサの型番と推定アルゴリズムを公開すべき(笑)。
20:30
MDはAhsan/Setiawan、Lee/Ko、Boe/Mogensenが3強と紹介している。しかしLeeはドーピング云々で出場停止になってしまったので、ここに早川遠藤が入り込めるかどうか?

世界ランキングポイントがインフレしている?

 Lee Chong Weiのランキングポイントが2014/3/13時点で何と6桁,100523.0828!これ,Leeだけが凄いのではなく,他の種目でも一位は9万点ぐらい.数年前までは一位は7万ぐらいが普通だったんじゃないかな.ランキングポイントがインフレしてる?

 Super Seriesが始まったのが2007年,Super Series Premierが始まったのが2011年なので,それに伴って獲得出来るランキングポイントが上昇したのかな.

 勿論,それにしたってやっぱりLeeは半端ないのだけど.だって,ランキングポイントに加算されているのは

  • BWF Events (World Championships) 2位
  • Super Series Premier 1位×4,2位×1
  • Super Series 1位×3
  • Sudirman Cup 1位

ですよ.化け物だなあ....ついでに、WikipediaのMalaysia Openの項目を見ると、なんとLeeは2008~2014全て優勝。テーブルで一人だけ浮いてる(笑)すごいなー。

Swiss Open 2014 XD Final - Chai/Tang vs Adcock/Adcock

試合概要

 All Englandが終わってすぐのグランプリゴールド.中国ペアはMD,WDでそれぞれ優勝を決めた後での試合!対するイギリスのアドコックペアは世界ランク5位で,優勝は少ないものの着実にQFに残ってランキングポイントを稼いでいるとのこと.

 グランプリゴールドだと表彰はその場で(コートの中で)やるのかな.スイスなせいか,観客も少ない.動画に挟まれる音楽の雰囲気がいつもと違ってなんだか良さげだが,これもグランプリゴールドだから?

全体の感想

 イギリスペア,ほとんどChrisが打っていて,Gabrielleは前でのヘアピンしか打っていない印象.これはChrisのカバー力が高いからか,相手の選球が悪いからなのか.Chrisはそこまでスマッシュが早いわけでもないので,やっぱり立ち回りが上手いのかな.

 それに対して中国はそれぞれ半々ぐらいの頻度で打っている.Tang JinHuaの能力が高い(何度もエースを取る程)のでラリーにはなっているが,全体的に押され気味だった.やはりもう少しChai Biaoが動きまわった方が良かったのでは.あと,Chaiのロブとかクリアのミスが多かったな.

個別の感想

5:15
What a backhand smash...
6:15
Chaiが後ろからサーブ.レシーバーのGabrielleが,Tangによってサーブ点が隠されていると主審に抗議→主審がTangに少し移動するよう命じる.ミックスならではだなー.競技規則第9条第5項に「ダブルスでは、サービスが始まり終了するまで(本条第2項、第3項参照)、それぞれのパートナーは、相手側のサーバーまたはレシーバーの視界をさえぎらない限り、それぞれのコート内ならどこの位置にいてもよい。」と書いてありますな.
7:30
解説.ChrisとGabrielleはジュニアからペアを組んでいて,世界ジュニアで銀を取っているらしい!
15:30
Gabrielle,フォアハンドスマッシュのみならずバックハンドプッシュでも声が出る.バックハンドの時に声出すの,個人的には感覚が分からないなー.
18:15
Gabrielle,Chrisに取って欲しい時に"Chris!"と掛け声.夫婦だからか,イギリスでは名前を叫ぶ文化なのか.
26:25
長いラリー.途中のTang JinHuaのハイバックが地味に凄い.

Yonex Denmark Open 2013 XD Round 16 - Hayakawa/Matsutomo vs Nielsen/Pedersen

Event: Yonex Denmark Open 2013 -- Round 16
Date: 15 October 2013 - 20 October 2013
Venue: Odense Sports Park, Odense, Denmark
Players: Joachim Fischer Nielsen / Christinna Pedersen (DEN) vs Kenichi Hayakawa / Misaki Matsutomo (JPN)
Category: Mixed Doubles

全体の感想

 朴監督,横でやってる園田嘉村じゃなくて早川松友についている.混合は本業じゃないはずだけど,本業に役に立つって意味でこの混合ペアにもかなり力を注いでいるということか.選手たちはそこまで勝利に貪欲であるようには見えないけど.

 インターバル中の監督のアドバイスを両方聞けるシステム,新しいな!いつからこういう仕組みができたんだろう.いいなこれ.ただし,両方の国の言語が分からないと意味がないし,今回はデンマークの監督が早口で全然聞き取れなかった.

 1ゲーム目は早川のスマッシュが良く決まっていた!相手はNielsen/Pedersenだし,これは立派なもんだと思っていたのだけど,2ゲーム目はいつものようにパワー不足の印象.しかし,早川はバックハンドはすごく早いんだよなー.早川自身,自分程度のスマッシュじゃ決まらないみたいなことをいつかのインタビューで言っていたけど,あのバックハンドのパワーがありながらなんでスマッシュは遅いんだろう.

個別シーンの感想

  • 52:12 早川のバックハンド強し.
  • 56:52 早川上手し.こういう低くて早い展開だと強いなー.