先に11点を取ることは重要なのか?
全日本総合選手権を見ていると,解説の方が良く「先に11点を取ってインターバルを迎えることが重要なんです」と言っているのを聞きます.精神的に落ち着けるからというのがその根拠だと思うのですが,本当でしょうか.気になります.
という訳で,調べてみました.
調査方法
まず,「重要」の意味を定義しないといけません.基本的には「勝つために」重要だということだと思うので,そのゲーム(マッチではない)の勝率が上がるかどうかを調べるのが良いでしょう.という訳で,10対n(n<10)の時に一点を取ることは,他の局面に比べて勝率の上昇が大きいかどうかを調べます.
勝率の上昇は,次の流れで求めます.
- 全てのm,nについて,m対nの時点での勝率を求める
- (m+1)対nの勝率からm対(n+1)の勝率を引いた値を勝率の上昇分とする.(これをm対nにおける一点の重要性と定義する)
m対nの時点での勝率は,過去,m対nを通過した全てのゲームのうち,最終的にそのゲームを取った割合とします.データは,2007年から2014年までのSuper Series,Grand Prix Gold,Grand Prixのランクの試合,全34652試合としました.種目や性別は今回は特に区別しませんでした.
結果
まず,各スコアでの勝率を見てみます. これは,横軸のプレーヤーAに焦点を当てた図です.赤いゾーンはAの勝率が高いということです.特異な点は見つからず,綺麗なデータになっている気がします.
次に,この勝率データから各スコアでの一点の重要性を求めたものが次の図です. これを見ると,ゲームポイントに近いほど一点の重要性が高くなっています.これは当然ですね.また,点差が離れているほどその局面は重要でないという結果になっています.圧倒的な差があれば一点の出来事で結果はほとんど左右されないということで,こちらも直感に合います.
そして,11点の辺りに注目してみると…特に周囲と変わりないように見えます.つまり,この図からは11点が特別な点であることを読み取れません.
あっさりしていますが,これでお終い.
結論
今回の定義では,先に11点取ることは特に「重要」ではなさそうです.インターバルの効果は点差に関わらず公平に表れているということなのでしょうか.