バドミントンデータ解析ブログ

バドミントンについて、しょーもないことも含めてデータ解析で遊びます。主にTwitter(@badiary09)に生息しています。

試合時間が長くなってきている?

BWFが発表した21点3ゲーム制を見直すというニュースが話題になっています.

The 5x11 scoring system is aimed at creating more excitement and interest while reducing the time which matches take to be completed.

どうやら狙いは試合を面白くすることと試合時間の短縮にあるようです.

しかし,2006年にラリーポイント制が導入された時も同じような理由が挙げられていたように思います.そして,ラリーポイント制になって確かに試合時間が短くなったはずです.それなのにまだ足りないのでしょうか.

...などということを考えていたら,面白い情報を見つけました.曰く,ラリーポイント制の導入時に比べて最近は試合時間が伸びているらしいのです.ソースは2ch

509 :アスリート名無しさん:2014/06/21(土) 02:00:58.65 id:HcTbswWd
またルール変わるんか 
協議時間短縮って、今も別にアホみたいに長いわけじゃないのに 
なにがダメなんだ 

510 :アスリート名無しさん:2014/06/21(土) 05:32:05.78 id:vie66NKG
いや間違いなく競技時間が伸びてきてる。サービスポイント時代と変わらないくらいに。 
なんでだろな。選手が間をとってダラダラ時間稼ぐせいもあるけれど。
(以下略)

これは検証するしかない!

調べてみました

2007年~2013年のSuper Series大会,全13886試合を対象に平均試合時間の推移を見てみます.

f:id:tenjin7:20140705185926p:plain

一応増えてますね.エラーバーは標準偏差を表していますが,こちらは平均の増加による効果以上にわずかに増加しています.

検定をしてみます.勝手に年度と試合時間の間に線形関係を仮定して,正の相関があるかをテストします.

 Pearson's product-moment correlation

data: data_SS$year and data_SS$duration
t = 16.0943, df = 13884, p-value < 2.2e-16
alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0
95 percent confidence interval:
0.1189674 0.1516240
sample estimates:
cor
0.1353325

p値が2.2e-16以下ということで,間違いなく正の相関がありますね.相関係数は0.135程度の模様.

結論

試合時間は間違いなく伸びています.更に,今後はチャレンジシステムの導入があり更に伸びることが予想されます.なので,運営側の立場からするとスコアリングシステムを変えようという意見も分からなくはないですね.

ただ,数分程度の増加がテレビ放映に影響を持つのかは良く分かりません.テレビ放映に関しては試合時間云々というよりは21点が多いせいで序盤に緊張感がないのを変えたいというのがメインなのかもしれません(参考記事).

それにしても,数年で数分程度の試合時間の伸びを察知していた2ちゃんねらはすごいですね.恐るべし.

おまけ

種目別に分けて考えると?

MS,WS,MD,WD,XDに分けて考えましょう.それぞれの2007年~2013年の試合の平均時間とその標準偏差です.

f:id:tenjin7:20140705185939p:plain

シングルスが長いですね.しかし,MSが一番長いというのは意外!てっきりWSが一番だと思っていました.ラリースピードは男子の方が速いはずなので,それにも増してラリーの回数が多いんですね.

ちなみに,種目別に無相関検定を行うと,MDだけ帰無仮説を棄却出来ません.つまりMDは試合時間が大して伸びてないんですね.最近のMDの試合はスマッシュの速度が上がっているせいですぐにどちらかがミスしてしまう印象がありますが,その表れでしょうか.

大会何日目かで分けて考えると?

Super Seriesのタイムテーブルを見ると,大会何日目かによって試合時間の見積もりを変えているようです.決勝に近づけば近づくほど実力が拮抗してくるはずなので,試合時間を長めに取るのは妥当でしょう.

こちらは何日目かと年に分けて平均時間だけ出してみました.見辛くてすみませんが,情弱で二次元棒グラフのやり方が分からないのでテキストデータで.

   year
day     2007     2008     2009     2010     2011     2012     2013
  1 33.46063 33.20385 35.29412 35.70813 37.39614 38.77778 38.14341
  2 38.28458 38.13681 37.18732 39.50515 41.13208 43.60218 43.02907
  3 38.49091 38.01081 40.23415 41.51429 43.75796 43.77778 45.86772
  4 42.63218 40.36458 43.20192 45.04706 44.92208 45.69149 44.78431
  5 40.83721 41.68750 45.09804 47.33333 45.31579 47.57778 48.19231
  6 41.50000 51.33333 45.03846 48.13636 44.16667 47.95833 53.26923
  7 38.50000 54.00000 49.00000 51.00000       NA       NA 51.00000

dayの数字がそのまま何日目かを表します.大会によって全日程数は異なるので,決勝と準決勝が同じdayに混ざっていたりします.NAがあるのは,2011年と2012年には7日間かけた大会が無かったということですね.

個別に気になるところはありますが,ひとまず全体的な傾向としてはやはり決勝に近づく程試合時間は長くなっていますね.また,何日目かによらずやはり過去に比べて試合時間が長くなっているということが言えると思います.